変革と挑戦7 100%醸造酢はミツカン酢だけ
確かな品質と安全性を訴えた純正食品キャンペーン
醸造酢と合成酢との区別を!

出荷用の樽を悪用され、粗悪な合成酢をあたかもミツカン酢であるかのように販売されたことから、全面ビン詰め出荷に踏み切ったミツカン。しかし、合成酢の問題は、昭和40年代に入ってもなお、ミツカンを悩ませ続けていました。
穀物などを原料とする醸造酢は、酢酸のほか、多くの種類の有機酸類やアミノ酸を含んでいます。 当時の安価な合成酢に含まれる有機酸類やアミノ酸は醸造酢に比べて少なく、人工甘味料など食品添加物を添加していました。ところが、当時の日本の法律では、こうした違いを商品に明記する必要がなく、醸造酢も合成酢もとくに区別がなされない状態で販売されていたのです。100%醸造酢の高い品質にこだわるミツカンにとって、これはなんとしても打開しなければならない問題でした。
品質表示の制度化につながったキャンペーン
そこで昭和43年(1968)、ミツカンは大胆な策に打って出ます。「100%醸造酢はミツカン酢だけ」というスローガンを掲げ、新聞広告などを展開する純正食品キャンペーンを開始したのです。ミツカン酢の確かな品質と、安心して口にしていただける安全性を強く訴えたこのキャンペーンは、世間の人々から大きな関心を寄せられる一方で、同業者の強い反発を受けることとなりました。が、その頃高まりを見せていた消費者運動の後押しもあって、ミツカンの主張は多方面からの支持を受けるようになり、昭和45年(1970)には「醸造酢」と「合成酢」の表示区分が官報により告示。そしてついに昭和54年(1979)、JAS規格の制定により、「醸造酢」「合成酢」の表示が義務づけられることとなるのです。
世論を、そして規格をも動かしたミツカンの純正食品キャンペーン。その立役者は、ミツカンの企業姿勢を支持してくださった消費者の方々に他ならなかったといえるでしょう。